
カルティエの実現したい野望
保険業法の改正によって販売制度の国際的な整合性の確保、販売チャンネルの多様化、競争促進による利用者の利便の向上を図るとの視点から、中立的な立場で保険契約の媒介を行う保険ブローカー制度は導入された。
ブローカーは損害保険代理店と同じく登録制である。
その要件は代理店と同様であり、保険募集に関する業務を的確に遂行する能力を求められている。
また、契約者保護のため、賠償資力を確保するため保証金を供託すること、顧客のために誠実に保険契約の締結の媒介を行うこと、さらに生命保険募集人および損害保険代理店を兼営できないことなどが規定されている。
ブローカーは代理店と異なって特定の保険会社との継続的委託関係はなく、特定の保険会社の拘束を受けることもなく、また保険契約締結権および保険料領収権もない。
ブローカーは保険契約者と保険会社の間に立って、保険契約者のニーズに最も適した保険商品を提供するもので、欧米の市場では代理店と同等か、あるいはそれ以上に重要な役割を果たしている。
代理店は損害保険会社の委託を受け、保険会社のために保険契約締結の代理または媒介を行うものであり、委託保険会社の数には制限はないため、多くの乗合代理店も存在している。
ブローカー制度の導入従来は企業の損害保険を扱う多くの企業別働代理店は、複数の保険会社と取引をする乗合代理店であり、ブローカー同様複数の保険会社の保険商品を選ぶことは可能であり、ブローカー的な機能を一部は保有していた。
しかし、従来の損害保険各社の保険商品・保険料率の同一の市場ではブローカー的機能は働く余地は少なかった。
ブローカーの仲介手数料は契約者の負担であり、保険料率の同一な市場では契約者はあえてブローカーを利用するメリットは少ない。
ブローカー制度は保険商品・保険料率の自由な市場で有効に働き、また企業が保険内容・コストを意識し、最適な保険提供を求める市場で本来の機能は発揮されよう。
欧米のブローカーは保険の仲介のみではなく、企業に対しロス・コントロール・サービスおよびリスク・マネジメント・サービスを提供し、企業リスクの所在を判定し、規模を測定し、最小のコストで最適な保険の手配を行っている。
さらに自家保険の可能性、キャプティブの設立の提案まで行っている。
現時点ではブローカーの設立は数十社の規模であり、外資系ブローカーの参入は少ない。
今後は企業のリスク・マネジメントの進展に呼応して、ブローカーは、リスク・マネジメント・サービスの提供を核にして事業領域を拡大しよう。
また、ブローカーは契約内容の国際的な再保険・海上保険・航空保険等々については海外の保険会社に、直接に保険契約締結の媒介を行うことができるため、自由化・規制緩和の進展に損害保険市場は代理店に依存しており、代理店の数は極めて多いが、大部分は零細な副業代理店であり、専業、また特級・上級種別の代理店は少ない。
このような代理店構造と販売活動の激しさのため、損害保険では従来から代理店と営業社員の重複した販売活動が指摘されており、募集活動の二重構造といわれている。
本来、代理店は販売店として保険契約募集のため、顧客に接触し、保険会社の営業社員は直接顧客に接するのではなく代理店の新設・育成・管理・営業支援を業務としている。
損害保険の事業コストにおいて営業関係費は圧倒的に多く、経営の効率化は募集活動の二重構造の解消を必要としている。
そのため、代理店の質の向上および代理店と営業社員の販売活動の棲み分けは避けられない。
また、ブローカー制度の導入によって企業保険分野における代理店と営業社員の二重な販売活動は排除されることになろう。
よって、海外市場に精通したブローカーは活躍の場を拡大することになる。
企業保険分野の契約者は保険に精通したプロである。
また契約の単価は大きいため、保険商品をオーダーメードにすることによって、多様化した契約者のニーズに対応しても、採算的にも対応可能な分野である。
家計保険は契約単価は低く、大量の契約を対象とする保険である。
したがって商品の細分化・多様化によるコスト上昇を避け、むしろ画一化した保険商品を大量に販売することによって、保険会社も消費者も規模の利益を享受する分野である。
家計保険では消費者は十分に保険を理解しているわけではなく、しかも普及率は低いので、より分かりやすい、求めやすい画一化した商品の供給を必要としている。
自由化・規制緩和は保険商品の多様化を促進することになろう。
この多様化は家計保険と企業保険では異なった対応を求められるのではなかろうか。
家計保険は画一化企業保険は多様化価格としての保険料(率)は純保険料(率)および付加保険料(率)から構成されている。
純保険料は支払保険金に充当する部分、あるいは保険(危険)原価部分、付加保険料は事業費および利益相当部分であり、価格としての保険料は営業保険料といわれている。
わが国の損害保険市場では火災・傷害・自動車保険の算定会保険料率種目は保険料および事業コスト・利益に相当する残余部分の約八○パーセントを占めている。
損害保険のビッグバンの中核をなすものは算定会料率・カルテル料率の撤廃である。
自由化・規制緩和によって企業分野の保険ニーズは多様化することになろうし、ロイズの日本進出に象徴されているように日本の企業保険は海上保険分野を除いては、未成熟な市場であり、潜在需要は大きい。
具体的には企業の地震保険も現行の制度では対応は不十分であり、保険種目的には利益保険・賠償責任保険・労災保険等々を中心に潜在需要は大きく、どのように顕在化させるか、また火災保険でも大規模物件では免責金額の大幅な設定など企業の需要に対応することも必要である。
保険料率は保険契約時点では危険原価部分は未確定であるため、販売競争の激化によって、保険会社はこの部分を過小に評価して、保険料率の引下げ競争に陥りやすい。
その結果、事後に発生してくる保険金支払いのファンドを枯渇させ、保険会社は財務的な健損害保険料率算出団体に関する法律(以下料率算出団体法と略す)では「保険料率損害保険における保険料の保険金額に対する割合をいう」と規定しており、この保険料率は営業保険料率である。
営業保険料・保険料率・損害率の関係を示したものである。
損害率は保険金を保険料で割った比率であり、料率水準と損害率は反比例の関係にある。
料率水準が高くなると損害率は低く、料率水準が低いと損害率は高くなる。
また、同一純保険料率の契約においては事業コストを同一とすると、契約単価によってコスト部分(付加料率)の料率に占めるウエートは異なるため、事後に判明する損害率は異なる。
全性を損なって保険金支払い不能となる。
日本の戦前の損害保険の歴史は競争による保険料率の引下げと財務的健全性を回復させる協調による保険料率引上げの繰り返しであった。
保険会社は健全性を確保し、契約者を保護するため、適正な保険料率の算定を必要としている。
保険料率は高く設定すれば保険会社の健全性は確保される。
しかし、契約者は不当に割高な保険料を負担することになる。
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